カバラン蒸留所について

当店でも激推しなカバランウィスキーは、スコッチウィスキー発祥のスコットランドとは温度や湿度など環境には大きな違いがある中で独自の発想、工夫で高品質なシングルモルトを2005年から製造してくれていて、ご存じのように既にその高い品質や上質な味わいは世界中で評価され、数々の賞も受賞しています。
そんなカバランウィスキーの蒸留所は台湾の北東に位置する宜蘭縣(イーラン県)の郊外にあり、一般に見学を公開してくれています。
カバランを知って以来、ずーっと行きたかった念願の蒸留工場見学についに行くことができたので、備忘録の意味も含めて蒸留所見学の流れを記録しておきたいと思います。
蒸留所見学の流れ
大まかに次のような流れで進めていくとスムーズに工場見学やエンターテイメントを楽しめると思います。
- カバランウィスキー公式WEBサイトから見学の申込
- 台北から宜蘭、カバランウィスキー蒸留工場への移動(台北に滞在している場合)
- (ブレンド体験を希望する場合)ブレンド体験の申込と料金の支払い
- 蒸留所見学
- テイスティングー酒庫テイスティングルーム
- ブレンド体験-DIYウィスキーブレンド
- 直営ショップでのお買物
カバランウィスキー公式WEBサイトから見学の申込
蒸留所の見学ツアーは無料です。
蒸留所見学自体は説明ガイドなしで自分の都合の良い時間に行ってぐるっと見て回っても良いのですが、やはり製造プロセスの説明はちゃんとガイドさんに教えてもらった方が勉強にもなるのでガイドツアーの予約がお勧めです。
ガイドは時間別に中国語、英語、日本語、韓国語に対応してくれています。
日本語は13:00~の一回だけです。
(中国語:10:00、16:00、英語:11:00、韓国語:13:30)
今回は工場見学を済ませてからテイスティング、DIYウィスキーブレンドのどちらも体験したかったので、ちゃんと理解できるか自信はありませんでしたが(笑)11:00~の英語の枠で予約をしました。

公式WEBサイトの「予約システム」にアクセスして、登録フォームに必要事項を記入します。
WEBサイトを日本語で表示するように指定した場合は自動的に時間は11:00~のみ選択できるようになりますが、上部の「見学言語」を切り替えれば別の時間も選択可能になります。

先に工場見学ではなくティスティング体験やDIYブレンドをしても良いのであれば(時間は後述)、日本語対応の13:00~の部を選択しても良いと思います。
必要事項を入力して送信すれば、登録完了メールが届きます。
あとは当日を楽しみに待つだけ。
台北から宜蘭、カバランウィスキー蒸留工場への移動
今回は台北に滞在したので、台北からの移動経路となります。
公式のアクセス案内はこちらですが、様々なブログやガイドなどで蒸留所へのアクセスは解説されていますので、”滞在場所からカバランウィスキー蒸留所まで”と検索すれば情報は得られるかと思います。
まずは台北からは鉄道かバスを使って宜蘭へ移動しますが、料金と時間の兼ね合いを考えるとバスが絶対に便利です。
台北から宜蘭へ向かうバスは2社あり、台北駅発と市政府駅のバスセンター発がありますが、市政府駅から出る1571番が悠遊卡も使えるのでそちらを選びました。料金は136台湾元(日本円650円くらい)、50分から1時間程度で宜蘭轉運站(イーランバスステーション)に着きます。
台北→宜蘭へのバス移動はこちらのブログなどで詳しく解説していただいてます。

宜蘭轉運站からカバラン蒸留所までは車やバスで20分ほどかかりますので、移動はバスかタクシーとなりますが、バスは1時間に一本程度ですし、日本のバスほど時間も正確ではないのでタクシーに乗る方がおすすめです。
タクシーはバスステーション前に客待ちしてくれていると思いますので、乗車して「噶瑪蘭威士忌酒廠」(カマランウェイシージージゥチャン)と正しい名前で伝えるか、もしくは「KAVALAN whiskey factory」と英語で伝えれば何とかわかってくれるかと。
蒸留所までは田舎道なのでほとんど渋滞などはないかと思いますが、行程は約20分。料金は300元前後(日本円1,440円前後)です。(行きも帰りも300元ぴったりでした)
蒸留所は広大な敷地ですが、タクシーはほぼ一般向けメインの建物、「酒堡(Main Catsle)」近くに停めてくれるでしょう。
万一違う場所で下ろされるようなことがあったら、この建物を目指してください。
このメインの建物に直営ショップ、レストラン、試飲室、DIYブレンド体験室、バーなどが全て配置されています。
見学の時間が来るまで、ここで座ってくつろいだり、直営ショップで商品を見たり、バーでカクテルなどを飲むなりしてくつろぐことになります。
開館時間は平日9:00~18:00、土日は9:00~19:00 その他詳細はこちら
こちらが敷地全体の見取り図です。
広大な敷地にいくつもの建物がありますので、こちらをご参考に。
朝早く着いたりしたら、敷地内を散歩したりするのも気持ちいいですよ。
蒸留所見学
参加予約した時間になったら、見学ツアーの集合場所に向かいます。
集合場所は、酒堡(Main Catsle)の隣奥にある「威士忌蒸餾廠(weishiji zhengliuchang)」ウィスキー第1蒸留所の玄関前です。
ツアーガイドの女性が待ってくれています。
今回はシンガポール人のご夫婦2組と私の3組だけでした。
館内に入るとさっそくむせ返るような芳香なウィスキー臭。蒸留所の中にいるんだーということを実感させてくれます。
あとは製造工程順にガイドさんの説明を聞きながら進んでいくだけです。(英語ガイドが不安でしたがほぼほぼ内容は理解できたので、ウィスキー好きな方なら英語ガイドでも大丈夫だと思います)

乾燥させただけのモルトと、ピート(泥炭)乾燥させたモルト。
ピーティーモルトはもう既にウィスキーのスモーキーな香りを感じさせます。
糖化された麦芽汁をアルコール発酵させると共にカバランならではの風味を生み出す酵母
バーボン、ワイン、シェリーなどに用いられた樽の内側をいったん焼いて炭化させる「トースティング」工程の説明。
それからいよいよ実際の糖化から蒸留、樽詰めまでのリアルな製造工程を見学します。
巨大なタンクで麦芽中を糖化してからアルコール発酵させるプロセス。

アルコール発酵が完了した麦芽中はポットスチルで蒸留されて、ウィスキーの原液が得られます。
この瞬間もポットスチルから集められた透明な原液が貯蔵タンクへと流れ出ていました。
ポットスチルはスコットランド式のランタン壺型。

我々が通る通路の反対側のスペースにはドイツ式の蒸留器が設置されていて、こちらは主にカバランジンの蒸留に用いられているということでした。
蒸留所見学最後はウィスキー樽貯蔵施設の説明です。
このスペースのウィスキーの香りはすごかった(笑)
なぜスコットランドのように樽を寝かせて低く置いておかないのか?などについても説明がありました。
以上でカバランウィスキーの蒸留所見学ツアーは終了です。
この第一蒸留所の見学ツアーをバーチャルで体験できるページも公式サイトには公開されました。スゴイですね。
でも、現地まで向かうのはちょっと大変な行程ではありますが、やはり大好きなカバランの蒸留所に入り、様々な体験ができるという意味ではとても貴重な思い出にもなるかと思います。
ぜひ一度蒸留所に足を運んでみてください。
テイスティングー酒庫テイスティング
見学ツアーの最後に、酒庫テイスティングスペースに案内されて、複数のカバランウィスキー熟成原酒のティスティングを楽しむことができます。
事前の予約は必要ありませんし、見学ツアーの一部とはいえ希望しなければテイスティングをしなくても大丈夫です。
公式サイトには5種の原酒と記載がありましたが、今回のツアーでは4種類のセレクトでした。
メニューは下記のような感じ。なんか日本語の商品名はちょっと変です(笑)
- トリプルシェリーカスクシングルモルト 100台湾元(10ml)
- エクストラバーボンオークシングルモルト 100台湾元(10ml)
- ポートカスクストレングスシングルモルト 200台湾元(10ml)
- モルトピーティーシングルカスクストレンツ 200台湾元(10ml)
全部飲んでも40㏄、1ショットちょいです。


普通に自分好みのカバランウィスキーをショットで飲みたいーという方は、この酒庫テイスティングはスルーして、2Fのバーやレストランでオーダーされた方が良いと思います。
ブレンド体験-DIYウィスキーブレンド
KAVALANウィスキーの原酒を自分の好きな比率でブレンドして、オリジナルのカバランウィスキーを持ち帰ることができるーなんて超絶ステキな体験がこの蒸留所見学ではできます。
今回の一番の目的はこのブレンド体験。贈り物と自分の分の2本が欲しかったので、一人で2口を申込みました。
DIYウィスキーブレンドは事前の予約は不要で、当日に希望の時間を指定して申し込みます。
実施時間は毎日10:10、11:10、13:10、14:10、15:10、16:10の6回、各40分程度の時間でブレンディング、試飲、瓶・箱詰めを進めていきます。
参加料金 1800台湾元(日本円 8,600円程度)(試飲から300mlの瓶・箱詰めまですべてを含む)。以前は確か1,400元だったのでちょっと値上がりしましたかね。
参加申し込みは各回の15分前までに済ませておかなければなりません。
申込と決済をするのは、「スピリットキャッスル2階のカバランガーデンホール」と公式サイトには説明があります。
酒堡Main Catsleの2階にエレベーターで上がって、正面のレストランカフェを通過して左側、フロア中心部にあるバーカウンターのことです。
ここで申込・会計を済ませてレシート(予約票)をもらって、実施時にDIY体験室のスタッフさんに見せて準備をしてもらうことになります。
DIY体験室は2Fフロア中心のバーカウンターのさらに奥、エレベーターとは対角線上の位置にあります。

今回はティスティングで試飲したのと同じ4種類の原酒をブレンドすることになります。
通常1回1本のDIY体験の場合は、4種類のブレンド比率を自分なりに試して、その中から1種類の比率を選びます。(今回はギフトと合わせて2本欲しいーということで頼んだので、2回分8種類のブレンドを試すことができるようになりました)
トータルで6mlのテスト用ブレンドができるように、4種類の原酒の配合比率を自分なりに検討して試飲し、ノートにメモしていきます。(ノートは日本語表記してくれてました)
ミニマムの単位は0.5ml。0.3mlとかはダメです。
例えば、ワインカスク:シェリーカスク:ピーティーカスク=2.5ml : 3ml : 0.5mlーのような感じで計算していきます。
一回6ml×4回、原酒の味見もしていくとショット2,3杯は飲んでるような感じなので、後半はほろ酔い気分になってるかもです(笑)
最終的に自分好みのブレンド比率が決まったら、スタッフさんに〇をつけたノートを提出して原酒の取り出しをお願いします。
今回自分の好み的にはバーボンカスクとピーティーカスクの比率が上がると苦みを感じたりピート臭が強すぎる気もして、好みの風味(例えばコンサートマスターポートカスクみたいな上品な甘さ)から遠ざかるように感じたので、バーボンカスクはブレンドせずピーティーカスクも抑え気味にした配合でお願いしました。
提出したノートの比率に合わせて、全部で300mlになるようにスタッフさんが原酒を樽から取り出してくれます。
この原酒を自分自身で瓶に注ぎ入れて、ラベルに日付とサインを記入し、箱詰めしたもらったらDIY体験の終了です。
スタッフのお姉さんもとても親切で、日本語&中国語交えながら楽しくブレンドテストの体験をさせてもらえることができました。
この自分だけのオリジナルブレンドのカバランウィスキーは本当に宝物です。
いつ開封するか迷ってしまいます(^^;
まとめ
台湾 宜蘭にあるKAVALANウィスキー蒸留所の見学や施設内でのサービスについて、今回の体験をまとめました。
台北から1時間半程度で行ける蒸留所で、工場見学やティスティング体験、DIYブレンド体験、それに直営ショップでのお買物など半日はゆったりと楽しむことができるかと思います。
上質なウィスキーの製造工程を生で見るような経験もなかなかできませんし、また直営ショップではここでしか買えないパッケージのウィスキーや、ピーティーカスクなどの限定ウィスキー、KAVALAN直営バーなどで使用されている完全オリジナルなグラス類など、KAVALANファンなら垂涎な商品もたくさんあります。
ぜひ上記のような情報もご参考に見学ツアーに参加してみてください。
■KAVALANウィスキー公式サイト
https://www.kavalanwhisky.com/jp
追記-帰路の交通
帰り道も蒸留所からはいったん宜蘭轉運站(イーランバスステーション)もしくは宜蘭站(鉄道のイーランジャン)まではバスかタクシー、そこから台北への戻り方は行きと逆のバスか電車に乗ることになります。
バスの場合は蒸留所工場のメイン出入口(冒頭の場内地図で⑥天然水生産工場と行政中心の建物の間の通路)の向かい側にバス停がありますので、そこから752番バスに乗ることになります。
ただし1時間に一本くらいしか来ないので、予め時間を調べておいて10分以上前にはバス停で待っておかなくてはならないです。
タクシーなら駐車場に数台は客待ちしているタクシーがあると思うので、運転手さんに直接話して乗せてもらうか、もしくは酒堡Main Catsle1階の直営ショップレジカウンターではサービスでタクシーを呼んでくれるのでそちらに依頼するかして手配してみてください。
行き先は、バスなら「宜蘭轉運站(イーラン・ジュアンユン・ジャン)」、電車(台鉄)なら「 宜蘭站(イーランジャン)」もしくは「宜蘭火車站(イーラン・フオチェー・ジャン)」と指定します。
バスステーションと台鉄のイーラン駅は少し離れていて歩いていくのも時間がかかるので、行き先ははっきり伝えましょう。
